男木島遠征記。瀬戸内海の猫の島へ行ってきた
大イベントに背を向けて
愛媛県では単独開催では史上初となる国体が始まった日。松山を出て高松へ向かう。
こんな地元の一大イベントを見ずに出て行くって言うのは、我ながらへそ曲がりだとは思うが、10月の他の休みは予定があるし事前の天気予報で「快晴」だった事もあり、香川県までの遠征を決意した。
今回の目的は、瀬戸内海の島「男木島(おぎしま)」である。
猫の島
猫の写真のカメラマンとして有名な岩合さんの番組で「人口より猫が多い島」として取り上げられたとかで、一気に有名になったらしい。
事前にネットで調べると、猫も確かに多いが、景色がいい島としても有名なようだ。
「猫島」は愛媛県にもあるが、愛媛の猫島は猫しかいなくて飲食店もないのに対して、男木島は人口もそこそこでいろいろな見所がありそうだ。
フェリーに乗るのは久し振り
松山から走ること2時間ちょっと。高松港の駐車場にクルマをとめ、「のおん2号」と言うフェリーに乗り込む。
定員は250人。途中にとまる「女木島(めぎしま)」の「め」と男木島の「お」で「めおん」らしい。(「ん」はどこから来たのか気になるが)
船の乗客は定員の半分ちょっと。住民っぽい人、家族連れの観光客に加えて、1~2名程度でカメラを持った私みたいな客も結構いた。
芸術祭のオブジェと初めての島猫
港の正面の山の斜面に沿って家が建ち並ぶ。住宅が密集しているのは、ほぼこの地区だけのようだ。
港の出口に「交流館」があり、案内のチラシが置いていたり、小さな売店があり、イスと机があって一休みできるようになっている。
島は直径2km程度の楕円形なのでほとんど歩いて移動できる。
まずは、島の東側にある漁港を目指す。
島特有の狭い道を歩いて行くと、すぐに漁港に出た。
11時頃だが、快晴でかなり暑い。
そんな気候だからなのか、ここまで猫の姿を見なかったが。小屋の陰に3匹の猫を初めて発見。
近寄って写真を撮らせてもらったが、半分無視されて半分迷惑そうだった。
その後、少し北へ歩くと「歩く箱船」と言う不思議なオブジェがあった。瀬戸内芸術祭の会場となったこの島には、これ以外にもいろいろな芸術作品が置いているらしい。
猫の少ない猫島
その後、早めの昼食をとったり(後述)しながら、島の南部を歩き回ったが、猫は数匹見ただけ。
これなら、うちの近所にある「猫屋敷」と呼ばれている一人暮らしの住人が野良猫にエサをやるので猫のたまり場になっている家の方が猫の人口密度(?)が高いくらいだ。
その後も、あまり密集せずにところどころに1~2匹の猫は居たものの、思っていたほど多くの猫には出会えなかった。
後日、この話を猫に詳しい人にしたら、そもそも彼らは夜行性だし、暑いのは苦手だから晴れた日の昼間は日陰や空き家の軒下などで寝ていて、夜になってから活動するのではないか?と言われた。
それと、この島の場合、あまりに増えすぎた(評判を聞いて捨てに来た人も居るらしい)猫の糞害などで困った住人が、猫を保護する目的もあり、費用を負担して一斉に避妊手術を行ったらしい。
なるほど。それが数年前として、その後、猫人口(?)が増加することはないわけで、最盛期よりも猫が減ってきているのかもしれない。
この件は、外部の者が軽々しくコメントできないが、「猫島」と言えないほど猫が減ってしまえば猫を目当てに訪れる観光客も減っていくわけで、観光客相手の商売をしている方にとって難しい問題だと思う。
もっとも、男木島の(公式)パンフレット類には「猫の島」とは書いていなくて、自然の景観や歴史ある建造物・芸術祭のオブジェ・特徴のある飲食店を取り上げているので、島としてはその辺はわかっているようだ。
灯台
その「歴史ある建造物」の代表格が、映画のロケにも使われた「男木島灯台」で、島の最北部にあり以前は「男木島で見るところは灯台しかない」と言われていたらしい。
港から歩いて30分ほどで行けるが、帰りも150km運転することを考えると体力を温存したいと思い、300円で電動自転車を借りて行ってみた。
ここには灯台の資料館も併設されている。
これで、島の海岸沿いは北東部の一部を除き、ほぼ回ってみた事になる。
ちなみに、この島はあの深作欣二監督の名作「バトル・ロワイヤル」の設定上の舞台になったらしい。そのため、地形やこの灯台は原作の小説の描写通りらしい。(ただし、あの映画のロケは八丈島で行われている)
移住者の方々
この島は、他の過疎地区と同じく島外の人の移住を推進しているそうで、それなりに若い人もやってきているらしい。
それで、そういった方々が開いた飲食店や小売店(雑貨屋等)がいくつかある。
昼ご飯を食べに行ったのは、南東部の漁港近くにあった「ビストロ伊織」。
見かけは普通の民家みたいだが、中は島で捕れた魚を使ったフランス料理を出してくれる店になっている。
ランチプレートが1,000円で、コースが2,500円。プレートを頼んだが、どれもいい味で量も十分だった。
その後、灯台に行く山道の中で、自転車が止まっているので店があるのに気付いて行ってみたのが「じょうこカフェ」。
道路からあぜ道みたいな細道を歩いて降りると、掘っ立て小屋みたいな家を改造して海が見える店になっている。
ここでも、島で採れた野菜を使ったランチプレートが食べられるらしいが、おなかいっぱいだったので「山桃のジュース」を頼んでみた。
ほどよい甘さに果肉が一杯の食感でおいしかった。
どちらの店も、値段も手頃だしここにしかない雰囲気を感じることのできる店になっていて、近くにあればちょくちょく来たいと思った。
ちなみに、どちらも食べる前や食べた後に店の方が「どこから来たんですか?」「荻島はどうですか?」等々話しかけてきた。
この手の店の接客としては普通のことなのか、珍しい(?)一人の客だから気を使ってくれているのかはわからないが、スタバのフレンドリーな店員さんと「このケーキおいしいんですよ」「いつもご利用ありがとうございます」程度の会話が精一杯の私としては、ドギマギしながらとんちんかんな受け答えをした気がする。
島は面白い
夕方まで島の狭い路地を歩いたり、港が見渡せる神社の登ったり、景色を楽しんで男木島を後にした。
以前行った柏島もそうだが、島は景色や風土が独特で面白い。
また、どこかを探して行ってみよう。